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2023.11.17

令和5年度の旧燈明寺収蔵庫の公開が終了しました  

当財団にとって恒例の、そして重要な事業である旧燈明寺の収蔵庫の公開を、木津川市観光協会の「木津川市2023 秋の特別公開 文化財の宝庫 木津川市」の一環として、11月3日、4日、5日の3日間実施し、無事終了することが出来ました。

来場の皆さまにご覧頂く収蔵庫内の展示は、今年も観音信仰を中心に組み立てました。京都府指定文化財の5軀の観音像(千手観音立像・十一面観音立像・不空羂索観音立像・聖観音立像・馬頭観音立像-いずれも鎌倉時代)と、これに関するものとして不空羂索観音立像の像内納入品である木造合体天部形像(2軀)と観音像造立奉加結縁交名(部分)をご覧頂きました。次いで、室町時代の「東明寺」銘 軒丸瓦と、そして燈明寺の縁起としては最も古い、第4代住持・日誓の誌した『東明寺縁起』(元禄9年・1696)や「南山城三十三所観音霊場額」(天保7年・1836)を展示。燈明寺は江戸時代に「南山城三十三所観音霊場」の第三番札所として多くの参詣者で賑わっていたようです。さらにその頃の燈明寺の全景の描かれた『拾遺都名所図会』巻之四(18世紀末頃)も併せて展示しました。

今年は、7月8日から9月3日まで奈良国立博物館で開催された特別展「聖地 南山城-奈良と京都を結ぶ祈りの至宝-」に旧燈明寺の5軀の観音像を出品し、素晴らしい舞台を与えられたあとの今回の公開だっただけに、それがどのように影響するのか、心配でもありました。その懸念は当たったようで、3日間好天に恵まれたにも関わらず、来場者は昨年の半数にも満たない123名という厳しい結果に終わりました。

来場者を地域別に見ると、最も遠くからは岩手県盛岡市のお二人でした。123名のうち近畿地方の方が9割弱、その内の6割余りが京都府の方で、さらにその6割余りが地元の木津川市の皆さまでした。比較的近いところからの来場者が多かったのが、今年の特徴かも知れません。

盛岡市からのお二人は初日のオープン前のかなり早い時間に来て待っておられたようで、少し早く入って頂きました。その日の午後には横浜市の三渓園の職員の方が来られました。三渓園には旧燈明寺の本堂と三重塔(いずれも重要文化財)が移設されていますが、元はどんなところに建っていたのかを見ておきたかったとのことでした。また、奈良国立博物館の特別展でご覧になった観音像をもう一度見たいと来られた方は、間近でゆっくりと見られて良かったと仰っていたそうです。

公開期間中の案内等の業務は今年も地元のNPO法人「ふるさと案内・かも」の皆さまにお願いしました。収蔵庫の清掃などの準備段階から、3日間の公開中を通じての来場者の受付と案内、本領発揮の細やかな説明など、会員の皆さまにご尽力を頂きました。心からお礼を申し上げます。

一般社団法人木津川市観光協会ではパンフレットとホームページでの告知に努めて頂きました。今年は不参加の現光寺に代わって近くの薬師寺が参加されましたので、「御霊神社・旧燈明寺と薬師寺へのアクセス」というチラシを作成して呼びかけて頂きました。様々なご尽力に感謝を申し上げます。

来年は以前のような賑やかな旧燈明寺でありたいと願っております。


収蔵庫公開当日の状況と展示資料 収蔵庫公開当日の状況と展示資料収蔵庫公開当日の状況と展示資料